有機無機ハイブリッド材料

・ハイブリッド材料の概要

有機物と無機物をナノレベルで複合化するハイブリッド材料は、熱・機械的特性の向上、電気特性・気体透過性の制御などが期待できます。さらに、混合サイズが光の波長よりも非常に小さいために材料自体が透明性を有し、光学用途への応用も期待されます。
図1、一般的な樹脂とハイブリッド材料の比較・期待される用途例
図1、一般的な樹脂とハイブリッド材料の比較・期待される用途例

・屈折率は光学材料にとって重要な因子

最近のメガネレンズは、ほとんどが樹脂(有機物)で作られています。フレームでさえも樹脂でできているものもあります。それは、ガラスなどの無機物に比べて有機物が非常に安く、軽く、簡単に成形できるからです。しかしながら、現在においても無機光学材料は多くの光学デバイスに採用されています。それは、無機物は有機物に比べて高屈折率で熱的にも高い安定性を持っているためです。屈折率は、光を操る上で重要な役割を果たし、材料の高屈折率化はデバイスの高性能化、小型・軽量化につながります。
当研究室では有機物と無機物の利点を組み合わせた「透明高屈折率ハイブリッド材料」の創製を目指しています。
図1、一般的な樹脂とハイブリッド材料の比較・期待される用途例

図2、屈折率の異なるレンズの焦点距離
 

・有機物と無機物は混ざらない(水と油)

とはいえ有機物と無機物は一般に相反する性質を持っているために単純には混ざり合いません。水と油をボトルに入れて頑張って振ってもすぐに2相に分かれてしまうように有機物と無機物も自分同士で集まって相分離しようとします。ドレッシングは水と油を長期間混ぜておくために乳化剤(分散剤)というものを加えてあります。これは、水と油の両方に仲のいい部分を持つ分子で仲介役を果たしてくれます。
図1、一般的な樹脂とハイブリッド材料の比較・期待される用途例

図3、水と油の関係、分散剤の役割
研究室独自の表面処理技術とそれを用いたハイブリッド化手法

一般的に無機ナノ微粒子は、水に分散した状態で得られます。そのため、水に仲の良いナノ微粒子をそのまま有機媒体に加えると凝集し、白濁または相分離します。透明なハイブリッド材料にはナノサイズで無機物を樹脂中に複合化することが求められます。そこで当研究室では、水中に分散するナノ微粒子を樹脂と仲の良い有機溶媒(たとえばトルエン)に相移動させる表面処理技術を開発しました(溶媒置換法)。
表面処理されたナノ微粒子は、様々な溶媒やモノマーに分散可能になります。この性質を利用して、多くの種類の樹脂を母材とした機能性透明ハイブリッド材料の開発を行っています。

図4、ナノ微粒子の性質と当研究室開発ナノ微粒子疎水化処理技術とハイブリッド化手法

 

written by Kazushi Enomoto