立体規則性制御を行ったポリマーの合成

・一次元規制重合による立体規則性制御を行った理想的アタクチックPMMAの合成

図1

ポリマーの可溶性、結晶化度、融点、ガラス転移温度、機械強度などの重要な特性は、分子量や立体構造、結合様式などの1次構造によって決定されます。分子量についてはリビングラジカル重合法の開発・発展により制御することが可能となりましたが、立体規則性については、未だ不完全な部分が多いのが現状です。特異な立体規則性高分子を得る方法としては、かさ高い置換基がついたモノマーを用いる方法や、溶媒や添加剤によるモノマーへの水素結合や配位を利用した方法などが挙げられます。一方、当研究室ではポリイソシアナートというらせん状の剛直な主鎖上に二重結合を配列させ、ラジカル重合を行う、一次元規制重合法を用いて立体規則性ポリ(メチルメタクリレート) (PMMA)の合成に取り組みました。その結果、これまでに報告例がない理想的なアタクチックPMMAを得ることができました。現在は、本研究で得られた知見を活用し、はしご状という特殊な構造を有するポリマーの合成に取り組んでいます。

written by Toshio Yamaguchi